菩提樹の花のハーブティー
先日、パリのサロン・ド・テに行った時に、菩提樹の花のハーブティーを購入することができました。普通はティーバッグに入ったもので売られているようですが、今回のはプルーストの『失われた時を求めて』の中で登場するような、ハーブの形そのものでした。そこで、今日は皆様に写真をご紹介したいと思います。
こんな風に葉っぱとともに、小さな花も付いています。
作品の中で、この菩提樹の花のハーブティーが登場するのは、「コンブレー I」のレオニ叔母さんの家での場面です。フランソワーズが紅茶をいれるのですが、その時の気分が昂っている時には、紅茶でなくてハーブティを淹れるように叔母さんは言うのですね。
語り手の役割は、薬局の袋(多分ハーブティーはこの頃も薬の代わりに用いられていたのでしょう)から必要なだけの量の菩提樹の花を出して、熱湯に入れることでした。
その時の菩提樹の花の形状を説明するプルーストの表現の素晴らしさは、実際にそのハーブティーを目の前にすると実感できます。
「からからに乾いた茎は、勝手な方向に曲がった格子の絡み合ったところに、まるで画家がそれを配置して最も装飾的な形でポーズさせたように、色あせた花は開いている。葉はその形状をなくしたり、あるいはその形を変えて」しまっています。その形のことを様々な例をあげて、実に美しく描写しています。つまり「蠅の透き通った翅、レッテルの白い裏、薔薇の花弁」と形容しています。それだけではなくて、全体の様子を「まるで鳥が巣を作るときのように積み重ねられ、粉々に砕かれ、編みあげられている」と述べています。
それでは、実際の菩提樹のハーブティーを拡大してみましょう。
如何でしょうか? プルーストの表現力の魅力が存分に発揮されていますね。
このハーブティーを実際に熱湯に入れた様子もご覧いただきましょう。
透明なガラスのポットに入れて熱湯を注いだ状態が、上の写真です。
下のカップに入れたハーブティーの色は、本当に薄いベージュ色でした。
『失われた時を求めて』をお読みになられた方は、きっとプルーストの香り高い文章の魅力を存分に感じられることでしょう。
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